放送を終えて

本日、出演させていただいたNHKさんの番組、「新プロジェクトX 大谷翔平 二刀流誕生〜“はぐれ者”たちが野球の歴史を変えた〜」が放映されました。放送をきっかけにこのHPを見てくださる方がいらっしゃるかもしれない——その時に何かメッセージを残しておこうと思い、初めて自身のHPに投稿させていただきます。

これまで、大谷翔平選手に関する取材は、できるだけお断りしてきました。いくつか理由がありますが、今回出演させていただいたことで、ひとつの区切りをつける事ができたと思っています。私の知る方々、知らない方々に誤解を招いてしまわないか。あの時携わった全ての人たちの想像をはるかに超える選手となった翔平に、感謝とエールを送ることはできただろうか。そんな気持ちで放送を拝見しました。

北海道日本ハムファイターズにおいて、現吉村球団統括本部長の発信のもと大谷選手の投打への挑戦が企画され、栗山監督がこれを現場で指揮しました。そのプロセスを思い返すとき、お二人の覚悟がどれほどのものだったか、と思うと表現し難い感情が込み上げます。そして、お二人以上の覚悟で大谷自身が挑み続けたことが、今につながっているのだな、と思うのです。

私は球団から与えられた役割の中で、ケタ違いの才能溢れる選手の足枷にならずに、未来の可能性をどこまで大きくする事ができるか——そのための寄り添い方を考え、できることを一生懸命に行わせていただきました。しかし今となっては、私が彼に何かできた事があるかと考えても、全くその答えを見つけることができません。

大谷選手やダルビッシュ選手をはじめ、たくさんの選手が近くで成果を上げる様子を見て、以前は自分なりに何かを果たしているという気持ちを持っていたように思います。

しかし今は、指導者にできることは、選手の中にある測ることのできない可能性が、どのような環境やプロセスの中で発現していくのか、その構造を捉え続けることに尽きるのではないかと思っています。
指導者がどんなに良い導きをしたとしても、選手がその通りに習得するわけではありません。選手が自ら気づき、試行錯誤を繰り返し、洞察しながら、自分自身の能力を形成していく——このプロセスがどのように立ち上がるのかを考え続けることが、指導者の仕事なのだと思います。

長きにわたり選手との仕事を続けてきましたが、現在私は一つのチームに所属する仕事を離れ、選手や指導者の育成に加えて、スポーツで培った考え方をもとに、人材育成や組織づくりにも取り組んでいます。今回の取材を通してあらためて深く感じたのは、大谷翔平選手に限らず、成果の有無や私との関係性に関わらず、すべての選手たちからどれだけ多くを学ばせてもらったのだろうか、ということです。その感謝を携え、これからも仕事を続けていきたいと思っています。

何か書きたいことが思い浮かんだら、またいつになるかわかりませんがメッセージを書いてみたいと思います。ご精読いただきありがとうございました!